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2022.10.30

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膝の水を抜く

 関節の中に存在している関節液は、関節の滑りをなめらかにし、関節軟骨に栄養を与える働きを持っています。正常では軟骨表面を潤す程度の少量しか見られませんが、関節内に一旦炎症が起こると、関節液は過剰に産出されることになります。この現象を関節水腫(すいしゅ)と言って、一般に「水が貯まる」という状態になります。関節の動きが大きく、負担がかかりやすいという理由から、水腫がよく生じるのは膝関節です。皮膚のすぐ下にある関節なので、気付きやすいのです。

 異常な水腫に対しては関節液を抜くことが必要になりますが、「水を抜くと癖になるのでは?」という質問がよくあります。これは日本だけで聞かれる話のようで、諸外国で耳にすることはありません。どうしてこんな話が広まったのかは不明です。

 関節水腫は、炎症が続けば抜いてもまた生じることから、いつしか抜かない方がいいという考えが生まれたのかも知れません。しかし関節の水は、貯めておくことで痛みや運動制限を持続させるだけでなく、軟骨への栄養障害を生じますので、抜くことはとても重要な治療になるのです。

 繰り返し膝に水が貯まる人は、医療機関を受診する「癖」をつけていただくとよろしいかと思います。

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