2022.08.28
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平安貴族の藤原道長(966-1027)が、「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」と詠んだことから、当時の彼の権力がいかに強大であったかをうかがうことができます。
最高の地位に就いた道長は、宮廷で連日のように酒宴を開き、美食にふけっていました。現存している肖像画でも、彼は明らかな肥満体で描かれています。51歳の頃から、しきりに喉の渇きを訴えるようになりました。多くの水を飲むようになったことから、飲水病(現在の糖尿病)に罹患していたことが判ります。道長が糖尿病であったことは有名な話で、彼の日記に視力低下を嘆く記述があることから、糖尿病性網膜症まで合併していたと考えられます。
糖尿病が進行すると、傷が治りにくくなります。道長も例外ではなく、背中の引っかき傷が化膿してしまい、次第にこの腫れ物が大きくなって全身の状態が悪化していきました。そして見る影もなく衰弱した道長は、62歳でこの世を去りました。
1994年の国際糖尿病会議において、道長は典型的な糖尿病患者として認定され、記念切手の絵柄になりました。現在は優れた治療薬が開発され使用されていますが、やはり基本は自己節制になります。普段からの食習慣や運動習慣が重要なのです。