2022.06.15
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近年になりよく知られるようになった病気に、メニエール病があります。
1861年、フランスの耳鼻科医メニエールMeniere(1799-1862)が、歴史的な報告をしました。論文には、「馬車で旅をしていた女性が、厳しい寒さにさらされて、持続するめまいと体動によって起こる嘔吐を生じました。この女性は発病後5日で亡くなり、検死の結果では耳の半規管が赤く腫れていました」と記述されています。
メニエール病は、めまい、耳鳴り、難聴を症状とする内耳の代表疾患です。医学用語でのめまいは、クラクラするようなディジネスdizzinessと、周囲が回るようなバーティゴvertigoがありますが、メニエール病の場合はバーティゴで、悪心と嘔吐を伴います。この発作が数時間にわたり続きますから、歩くことはできません。
彼の発表で重要だったのは、従来は脳障害によって起こるとされていためまいが、実は内耳の異常で発症するとした点でした。このため、当時はメニエールの説は全く相手にされませんでした。その翌年、彼は失意のうちにこの世を去っています。
ストレスや疲労が誘因となる病気ですので、「目が回る忙しさ」には十分に気をつけましょう。発作は繰り返されることもあります。