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2022.03.15

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手術手袋の物語

 医療における手袋の使用に関しては、1758年の本にすでに記載がみられます。昔は、動物の皮や馬の膀胱を使っていたようです。

 手袋を使う目的は、当初は医師を感染から守ることでした。病気で亡くなった人の剖検の際に、誤って手を切ってしまった医師が、そこから感染症を発症して死亡しました。ですから手袋は、もっぱら解剖や検死の際に用いられてきました。

 手術に使えるような手袋手袋を開発したのは、アメリカのハルステッドという人です。彼が勤務していた病院の手術室では、手や機械の消毒に塩化第二水銀溶液を用いていたため、勤務する看護師の手はひどく荒れて、湿疹ができていました。ハルステッドは厄介な消毒液と手が接することがないよう、また細かい作業に支障がないようにと、清潔で薄いゴム手袋を導入して問題を解決しました。術者も使用できるほどでしたから、この手袋は高い評価を受け瞬く間に世界中に普及していったのでした。

 ハルステッドは、なぜ看護師の手に興味を持ったのでしょうか。実は彼女は、ハルステッドの婚約者だったのです。愛する人の手を守ろうとする気持ちが、現在のような手術手袋を誕生させたのでした。

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