2021.10.17
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日本の社会において、欧米のようにはっきりとものを言わないということは、文化の特徴にもなっています。ですからこれまで、直接的な表現を避けた言い回しが発達してきました。虫を使った言葉もその一つで、何かあると得体の知れないものの責任にすることがあります。
「虫の好かない」と言えば、実は嫌いな理由があるけれども、自分自身がはっきりと感じていないような言い方になります。「虫のいい」とは、都合のいい話だけれど、自分の意とは異なるような印象を与える表現です。「虫の居所が悪い」という時は、気分が良くない状態であるけど、原因はその人のせいではないというニュアンスを含んでいます。しかしこの虫、いったい身体のどこにいるのでしょうか。
気持ちの一部を表すわけですから、感覚としては「心臓の近く」や「頭」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし「虫の知らせ」という言葉は、実は英語では「骨の予感(feeling in bones)という表現になりますので、虫は時には骨にも居ることになります。
どうせ身体に居座るなら、ぜひ虫には活躍してもらいたいものですが、「変な虫」だけは付かないようにしたいものです。