2021.04.14
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医学の父とされるヒポクラテスの格言を、ホーレスという詩人が「Ars longa, vita brevis(アース ロンガ、ビタ ブレービス).」というラテン語に訳しました。この言葉は、ゲーテの著書「ファウスト」で有名になりました。日本語では「芸術は長し、人生は短し」と訳されています。元々ヒポクラテスは、医術というものは奥深いものであって、一生をかけても修得することは至難の業であるという内容を語っていました。ホーレスは「医術」というところを「ars:芸術」に置き換えたために「芸術は長し」となりました。
本来の意味は、「少年老い易く学成り難し」と同様になります。しかし「人生は短し、芸術は長し」という逆の言い回しもあって、この場合は「人の命は短いものであるが、その芸術(業績)は永遠のものである」と解されるようです。欧米でも、ars longaとvita brevisの順序はまちまちのようです。
一方で、ローマの哲学者セネカは「人生の多くを無駄に使うことで、その時間を短くしてしまっている」という解釈を説いています。いずれも立派な格言になっていますが、やはり「芸術は長し、人生は短し」がしっくりくるような気がします。