NEWS

2025.03.05

ブログ

ハチ公

 秋田犬のハチは、飼い主の死後も駅前で主人の帰りを待ち続けた忠犬として有名です。飼い主が1925年5月21日に死亡し、ハチは1935年3月8日に亡くなっていますから、なんと10年の歳月を待ったことになります。この間、ハチについての新聞報道がなされ、広く世間に知られることになりました。その一途で健気な姿に、人々は感動したのでした。

 ハチの遺体は解剖され、臓器は東京大学に保存されました。死因は心臓や肝臓のフィラリア症と発表されました。フィラリアは糸状虫(しじょうちゅう)とも呼ばれ、脊椎動物の体内に住む寄生虫です。この死因は長い間、定説となっていました。

 しかしハチの死後75年が経過した2010年、当時にはなかった最新の機器を用いてハチの臓器を再度検査したところ、なんと多くの臓器に悪性腫瘍、つまりがんが発見されたのでした。この研究結果は翌年に報告されましたが、フィラリア症とがんのどちらも死因になりうると結論付けられています。

 渋谷駅前にあるハチの銅像は、待ち合わせ場所の目印になっています。病気と闘い、死の直前まで忠誠心を示したハチのことを思うと、せめて約束した時間は守りたいものです。

次の記事へ >

一覧を見る