2024.07.05
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新型コロナウィルス感染症も、ようやく落ち着いてきた感がありますが、まだまだ油断は禁物です。
明治10(1877)年7月、中国の日本領事館から日本政府へ、福建省でコレラが大流行しているとの緊急報告が入りました。中国西南部からは九州に多くの船舶が往来していましたから、慌てて対策がとられました。しかし予防手段の遅れから、とうとう長崎でコレラ患者が発生してしまったのです。
この時期には西南戦争が終結し、勝利を収めた政府軍が艦艇で神戸港に引き揚げてきていました。実はこの船内で、すでに頻回の下痢に悩まされる、多数のコレラ患者が発生していたのです。早急に鎮圧しなければ、日本中に感染が拡大してしまうため、港の役人たちは兵士に対し港内に留まるように呼びかけました。しかし努力の甲斐もなく、兵士たちはこの静止を振り切り、故郷に散らばってしまいます。その後、コレラはすぐに関西を中心に流行し、ついに全国各地に広まっていったのでした。
時代は変わっても感染症がなくなることはありません。何がいつどこで発生するのか、予測できないことも少なくありません。ただどんな感染症であっても、大流行を予防するのに最も大切なことは同じです。「まずは水際の第一歩」。この対策の心得を、皆が共有することが重要になるのです。